三浦しをんさんの長篇『墨のゆらめき』は、「文字」そのものを主題に据え、人と人とのあいだにそっと流れる感情の機微を、静かに、そして時にユーモラスに描いた作品です。
本記事では、『墨のゆらめき』のあらすじをはじめ、実際に読んだ方々の感想や口コミ、おすすめポイントを紹介。
さらに、オーディオファースト作品として話題となったAudible版の楽しみ方まで、初めての方にもわかりやすく解説しています。
忙しい日々のすき間に、少しだけ心をほぐしてくれるような一冊を探している方へ——読書選びのヒントになれば幸いです。
※ この記事にはプロモーションが含まれています。
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三浦しをん『墨のゆらめき』 をAudibleで聴いてみた

まず『墨のゆらめき』の内容に触れる前に、Audibleで聴いた際の体験や印象をざっくりまとめてみました。
それでは、それぞれ詳しく解説していきますね。
Audibleで聴くメリット・新鮮さ
本作は、書籍・電子書籍版に先行して音声版が配信された「オーディオファースト」作品です。
2022年11月17日にAudibleで先行配信され、その後、2023年5月31日に書籍・電子書籍版が発売されました。
書籍が販売されていることに気づかなかった私は、先だってAudibleで『墨のゆらめき』を耳で楽しみました。
最初、「聴く本」に描き下ろしがあることに驚いたのと同時に、ナレーターという存在が読者と作品のあいだに入ることで、物語の世界観を狭めてしまうのでは――そんな不安も、少し抱いていました。
ですが、いざ物語が始まると、登場人物の息づかいや、情景の移り変わり、静けさや高揚感まで、すべてが耳を通じてダイレクトに心に入ってきます。
活字を追うのとはまた違って、音の世界に深く没入していく感覚がとても新鮮でした。
そして、一度体験してしまうと、家事や移動中でも本の続きを聴ける便利さが手放せなくなりました。
「忙しいから読書は後回し」と感じていた毎日のなかで、ほんの5分でも好きな物語に触れられる贅沢さは、想像以上です。
さらに、朗読される言葉には、声の強弱やテンポ、間の取り方といった“演出”が加わることで、物語の感情や空気がより鮮やかに浮かび上がってきます。
物語の中で静かに交わされる会話や、何気ない日常の一コマが、声によってドラマチックに響いてくるのです。
「本は読むもの」という自分の中の当たり前が、Audibleの体験によって大きく揺らぎました。
これからは、気分やシーンに合わせて「聴く」「読む」を自由に使い分ける――そんな新しい読書スタイルが、自分の日常にすっとなじんでいきそうです。
ナレーターや朗読の雰囲気
「墨のゆらめき」のナレーターは、櫻井孝宏さん。
「鬼滅の刃」の冨岡義勇役や、「呪術廻戦」の夏油傑役、さらには海外ドラマ「glee」のフィン役(吹き替え)など、数々の有名作品で知られている声優さんですが、本作でもその表現力がいかんなく発揮されています。
遠田や続など、キャラクターごとに声のトーンや話し方が絶妙に使い分けられており、静かなシーンでは柔らかな声色が物語の余韻を深め、緊張感ある場面では抑揚や“間”の使い方が緊迫感を増してくれます。
紙・電子との違いと体験談
Audibleで「聴く」体験は、紙の本や電子書籍とは別物でした。
目で文字を追う必要がなく、手がふさがっている時でも耳さえ空いていれば物語の続きを楽しめるのには、本当に感動しました。
「疲れ目がひどくても本は紙派」の私でしたが、家事や散歩をしながら聴くAudibleにすっかりハマっています。
普段本を読む時間がない方ほど、ぜひ一度試してほしいなと思います!
Audibleはどんな人におすすめ?
三浦しをんさん自身が感情や人物描写の名手なので、“耳から入る物語”との相性は抜群だと感じました。
「物語を耳でじっくり味わいたい」「朗読の世界にひたってみたい」という方には、Audibleの“聴く読書”がぴったり。
ナレーターの声を通して物語が立体的に響いてくるので、目で読む読書とはまた違った魅力を楽しめます。
また、通勤や通学、家事のスキマ時間を有効活用できるので、「なかなか本を開く余裕がない…」「でも物語は楽しみたい!」という方にも嬉しい選択肢になるかと思います。
何か新しい読書スタイルにチャレンジしたい人にも、ぜひ一度試してほしいなと思います。
『墨のゆらめき』はどんな小説? ジャンル・あらすじ・世界観

ここからは「墨のゆらめき」がどのような作品なのか、まずはジャンルや全体の雰囲気、そして作品ならではの世界観について見ていきましょう。
それでは、詳しく見ていきましょう。
『墨のゆらめき』の概要
「文字」は、私たちの感情や日常を、そっとやさしく包み込む力を持っています。
三浦しをんの新作長篇『墨のゆらめき』は、その「文字」そのものをテーマに、人と人とのあいだに流れる機微を静かに、時にユーモラスに描き出す、唯一無二の小説です。
この作品は、一般的な小説の枠を大きく超えています。
まず注目すべきは、Audibleオリジナルとして「音声小説」として先行配信された、いわば「オーディオファースト作品」であるという点。
人気声優・櫻井孝宏氏が全編を朗読し、登場人物たちの息づかいや情景を“耳で”鮮やかに伝えてくれます。
「本を聴く」――この新しい読書体験こそ、忙しい現代人の生活にやさしく寄り添い、通勤や家事の合間に“物語の世界”へとあなたを誘ってくれるでしょう。
三浦しをんさん自身も、音で伝えることを意識して執筆したことを明言しており、従来の読書では味わえなかった会話の臨場感や登場人物同士の“間”が、音声だからこそリアルに伝わってきます。
2023年5月には書籍としても新潮社より発売されました。
電子書籍版も好評で、紙・デジタル・オーディオ、あらゆる形で楽しめるのも本作の魅力です。
『墨のゆらめき』のあらすじ・世界観
舞台は昭和の香りが残る「三日月ホテル」。
主人公・続力(つづきちから)は、祖父の代から続く老舗ホテルの若き支配人。
ホテルの片隅で「書道教室」が開かれるようになったことから、天才肌の書家・遠田(とおだ)との運命的な出会いが始まります。
一見そっけないが、どこか憎めない遠田。
人生に悩みを抱えながらも、日々誠実に“働く”続。
価値観も歩み方も違う二人が、手紙の代筆や“文字”を通じて、互いの人生を照らしあい、静かな再生の物語が紡がれていきます。
「言葉では言い表せない想いを、文字で伝える」――
この作品のなかで描かれる一文字一文字は、読者の心の中にそっと染み込むような余韻を残してくれるはずです。

これは『三浦しをんさんお得意のバディもの!』って感じ。
聴き始めたら、ふたりのやりとりにすっかり引き込まれてしまいました!
共感を呼ぶ登場人物たち
この物語の大きな魅力は、やっぱり個性的な登場人物たちと、その絶妙な関係性にあります。
主人公の続力(つづき・ちから)と、遠田薫(とおだ・かおる)。
性格も職業もまったく正反対のふたりにくわえ、書道教室に通う小学生のハルトくん、ササキくん、ツチヤくん。
猫のカネコ氏や、ホテルを定年退職した競馬仲間のハルオカさん。
スエヤマ組の組長ナカムラジロウ。
そして、遠田の義両親でもあり師匠でもある遠田ヤスハル氏とその妻。
物語には直接登場しませんが、“牛肉の女”や、薫の母など、さまざまな世代・立場の人たちが登場し物語に彩りを添えています。
続と遠田の交流や、ホテルでの日常描写は、誰もが共感できる“人間ドラマ”として描かれ、家族・友情・仕事――さまざまなテーマが交差し、人生の小さな“光”や“温かさ”を感じさせてくれます。
『墨のゆらめき』の魅力
『墨のゆらめき』の魅力は、静けさの中にじんわりと広がる温かさと、人と人との不思議な距離感にあります。
物語にはちょっとしたユーモアもあって、遠田の突拍子もない話や、書道教室に集まる個性的な子どもたち、猫のカネコ氏など、思わずクスリと笑ってしまう場面が点在しています。
それでいて、遠田が背負う過去や、それを受け止める続の優しさには、言葉にできない切なさが漂います。
登場人物はみな、それぞれに小さな悩みや想いを抱えて生きていて、その心の揺らぎや、誰かとのつながりがごく自然に描かれているのが印象的。
物語を読み終えたとき、「また続きが読みたい」と思わせてくれる、そんな余韻が残りました。
実際どう読まれている? SNS・読書メーター・Amazonから抜粋レビュー

『墨のゆらめき』については、SNSやレビューサイトでもたくさんの感想が投稿されています。
以下に主な意見を集めました。
ポジティブな感想・高評価レビュー

Audibleの櫻井孝宏氏の朗読について、演技・声質・変化の付け方の支持も厚く、レビューでも高評価を得ていました。
「ここが合わなかった」ネガティブな感想

読者の口コミを見る限り、「墨のゆらめき」は三浦しをん作品らしい“人間味”と“日常の美”が高評価を得つつも、テーマの深さや後半の構成に改善の余地があるという声もあります。多く見受けられました。
どんな人におすすめ? 合わないかもしれない人って?

この作品には、“刺さるポイント”が人によって少しずつ違う奥行きがあります。
ここでは、どんな読者に響くのか、あるいは合わないと感じるのかまとめてみました。
読書やオーディオブック選びの参考になるとうれしいです。
こんな人におすすめ
- 静かでやさしい雰囲気の物語が好きな人
- 人間関係の微妙な変化や、日々の小さな出来事に心が動く人
- 書道や日本文化の空気感に興味がある人
- 三浦しをんさんのファン
- 物語をじっくり味わいたい人
こういう人には合わないかも
- スピード感のある展開や強い刺激を期待する人
- サスペンスや劇的なドラマが好きな人
- ゆったりした物語の流れが苦手な人
『墨のゆらめき』は、日常のささやかな出来事や登場人物たちの心の動きを、ゆっくり丁寧に描いている物語です。
のんびりした雰囲気や静かな読後感を味わいたい方にはぴったりですが、スピード感や刺激を重視する方だと物足りなく感じるかもしれません。
Audibleが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
『墨のゆらめき』が好きなら、こんな本もおすすめ

1.『羊と鋼の森』
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2.『神様のカルテ』
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3.『本屋さんのダイアナ』
まとめ|“耳”と“心”で味わう、『墨のゆらめき』という体験
静かに語られる物語が、日常のすき間にふっと入り込んでくることがあります。
『墨のゆらめき』は、書の技法や知識以上に、「文字」という存在が人と人を結び、心の機微を照らす一作。
穏やかな語り口と、さりげないユーモアが、忙しい毎日をほんの少しやわらかくしてくれます。
ページをめくるたび、誰かとのやり取りや、何気ない一言の意味を思い出したくなるような余韻が広がっていく。
そんな体験が待っている作品です。
今の読書体験に、ちょっとだけ新しい風を取り入れてみたい方に。
ひと息つく時間のおともに、手に取っていただけたら嬉しいです。
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