阿部暁子『カフネ』小説レビュー|本屋大賞受賞作!癒しと絆が心に深く残る感動の理由

阿部暁子『カフネ』小説レビュー|あらすじ・感想・共感できる人・合わない人を徹底解説 小説

※この記事にはプロモーションが含まれています。

阿部暁子さんの『カフネ』は、2025年本屋大賞にも輝いた今注目のヒューマンドラマ。
家族の死や人との別れ、仕事や人生の迷いなど、誰もが抱える悩みと温かな再生の物語が描かれています。

この記事では、

  • 『カフネ』のあらすじや世界観
  • SNSでのリアルなレビューや口コミ
  • 高評価の高い理由

など、作品の魅力をわかりやすく紹介しています。
おすすめしたい人や、似た雰囲気のおすすめ作品もまとめていますので、ぜひ最後までご覧になってください。

『カフネ』ってどんな小説? ジャンル・あらすじ・世界観まとめ

『カフネ』ってどんな小説? ジャンル・あらすじ・世界観まとめ

この章では、まず『カフネ』のあらすじや主人公、物語のテーマや世界観について解説していきます。

『カフネ』の概要

著者の阿部暁子さんは、岩手県出身の作家。日常の中で感じる小さな違和感や、心の揺れを丁寧に描く作風が特徴で、10代向けの小説や児童文学でも高い評価を受けてきました。

2025年本屋大賞を受賞した本作『カフネ』でも、家族との関係や日々の生活に対する作者自身の思いが、リアルな人間ドラマとして作品全体に息づいています。

『カフネ』のあらすじ・世界観

物語の主人公は、法務局に勤務している野宮薫子(ののみや・かおるこ)。薫子は最愛の弟・春彦を29歳という若さで突然失い、さらに離婚を経験し、心も生活も荒れてしまいます。

そんな中、亡くなった弟の遺言に従い、春彦の元恋人だった小野寺せつなと出会います。無愛想で不器用なせつなに戸惑う薫子ですが、やがて、せつなが働く家事代行サービス「カフネ」で手伝いを始めることに。

家事代行の現場を舞台に、さまざまな事情を抱えた依頼人や家族と出会い、少しずつ心の傷と向き合いながら、”再生”の物語が展開されていきます。

作品タイトル「カフネ」に込められた意味

「カフネ」というタイトルは、ポルトガル語で「大切な人の髪をやさしく撫でる仕草」を意味し、“そっと寄り添う”という作者の思いが込められています。

タイトルが象徴するように、作中では、登場人物同士が互いに支え合い、やさしく接する場面が随所に登場し「目に見えない思いやり」や「手を差し伸べる行為」の尊さが、全体の空気感として漂っています。

『カフネ』の評価が高い理由は?―― 作品の“癒し力”と読後感

『カフネ』の評価が高い理由は?―― 作品の“癒し力”と読後感

『カフネ』が読者から高評価を集める理由とは?
この作品が多くの支持を集める理由や、読後に感じる余韻について解説します。

心あたたまる、繊細な心理描写

決して劇的な展開や派手な感動シーンに頼らず、日常の中の小さな出来事や、登場人物たちの心の揺れや葛藤が、とても丁寧に描かれています。

例えば、せつなが依頼先で作る家庭料理や、薫子が掃除しながら依頼先の子どもと言葉をかわす場面など、薫子の孤独や焦り、せつなの不器用な優しさ、依頼人が抱える悲しみや秘密など、どれも共感できるリアルな感情として伝わってきます。

料理・食べ物の描写が魅力的

物語にたびたび登場する「おにぎり」や「卵味噌」、せつなが作る手料理は、単なる味や見た目の話にとどまらず、作る人・食べる人それぞれの思い出や、気持ちの変化に寄り添っています。

共感できる登場人物と関係性

現代社会の中で多様化する人間関係に光を当てながら、血のつながりだけではない「家族」や、友人、恋人、同僚、時にはそのどれにも当てはまらない関係が描かれています。

完璧ではないからこそ、誰もが自分の“居場所”を求めている――そんな普遍的なテーマが物語の根っこにあります。

現代的なテーマと問題定義

離婚、家族の死、不妊治療、LGBTQ、セルフネグレクトなど、今の時代ならではの課題にも触れており、どのテーマも特別なものではなく、日常の延長線上にある『生きづらさ』、登場人物が抱える事情として描かれています。

家事と再生がテーマのヒューマンドラマ

家事という一見地味な作業が、不器用な登場人物たちの心を少しずつ再生させていく――それが『カフネ』の核です。

日々の小さな“手助け”や“励まし”の積み重ねは、すぐに大きな変化をもたらすわけではありませんが、やがて静かな心の変化へとつながって、「人は何度でもやり直せる」「他人の優しさに救われることもある」といった思いが読む人の心をあたたかく包み込むのだと思います。

『カフネ』を読んだ感想

『カフネ』は、喪失と受容のテーマを現代社会の問題を通して描かれた作品でした。

物語は、最愛の弟・春彦の突然の別れという辛い経験を背負った姉、野宮薫子が、弟の婚約者であるせつなと出会ったところから動き出します。

当初、薫子の言動には感情的で不安定な一面が目立ちました。
ヒステリックな彼女に嫌悪のような感情を抱きましたが、内面にある満たされない思いや家族への複雑な感情、人間らしい弱さにふれるうちに共感を覚え、徐々に好ましい存在へと変わっていきました。

一方のせつなも、一見すると自己中心的で他者の感情を顧みない、どこか人を突き放すような冷たい印象がありましたが、これもまた彼女の内に秘めた葛藤からくるもの。

相手を一面だけで決めつけて、わかったつもりになることがいかに安直か。危うさを感じました。

また全編を通して、不妊、虐待、病、ジェンダーといった現代社会のデリケートなテーマにも深く切り込んでおり、とくに子どもを望むアラフォー女性の切実な思いや、複雑な事情を抱える夫婦の姿は、胸が痛むほどリアル。

そうした登場人物たちの葛藤を通して、私たちは表面上は自立して生きていけると感じていても、結局のところ誰かを求め、誰かの存在によって自己の輪郭を確かめたい存在なのだと感じさせられました。

だからこそ本作に、自分の隣にいる人の価値を再認識し、心を開いて対話することの大切さを見いだせたように思います。

そして描写される料理の美味しそうなことと言ったら……。

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どんな人におすすめ? 合わないかもしれない人って?

どんな人におすすめ? 合わないかもしれない人って?

時間をかけて読むわけですから、本を選ぶとき「自分に合う作品なのか」「読んで損はしないか」は気になります。作品の雰囲気やテーマから、合う読者・合わない読者の傾向をまとめました。

こんな人におすすめ

  • 日常や人間関係に疲れている人
  • 料理が出てくる小説が好きな人
  • 家事や、ケアに興味がある人
  • 主人公の温かな成長物語が好きな人
  • きっちり終わる話が好きな人

こういう人には合わないかも

  • 物語の進行にスピード感や刺激を求める人
  • ドラマチックな展開やエンターテインメント性を重視する人
  • 家族の死や人生の問題といった重めのテーマが苦手な人

『カフネ』が好きなら、こんな本もおすすめ

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『カフネ』に似た雰囲気やテーマ、温かな再生を描いた小説を集めてみました。

1.『ツバキ文具店』

2.『かがみの孤城』

劇場版『かがみの孤城』は、Amazonプライムビデオで配信中!
(2025年7月1日現在)
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会員じゃない方も30日間の無料トライアルで視聴できます。

3.『そして、バトンは渡された』

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家事や暮らしがモチーフの作品なら、森下典子さんの『日日是好日』もおすすめ。茶道を通じて日々の暮らしを見つめ直すエッセイで、日常の「小さな幸せ」感じさせてくれます。
こちらも黒木華さん・樹木希林さん・多部未華子さん共演で映画化されてました。
Amazonプライムビデオで配信されているので、興味がある方はチェックしてみてください。

まとめ|『カフネ』“優しさ”と“再生”をくれる物語

まとめ|『カフネ』“優しさ”と“再生”をくれる物語

今回は、心が疲れたとき、誰かの優しさに触れたいとき、日常のなかに温かい光を見つけたいとき―――今この瞬間を頑張って生きているあなたに、ぜひ読んでほしい物語ということで、阿部暁子さんの『カフネ』を紹介しました。

  • 日常や人間関係に疲れている人
  • 料理が出てくる小説が好きな人
  • 家事や、ケアに興味がある人
  • 主人公の温かな成長物語が好きな人
  • きっちり終わる話が好きな人

家族の死、別れ、不妊や貧困など、現代的な苦しみが重なりながらも、誰かのために手を差し伸べることで、自分自身もまた癒されていく――そんな静かな再生の過程が、静かに胸に響きました。

この記事が、あなたの新しい読書体験の一歩になったら幸いです。

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